2009年11月17日 15:45税理士

平成20年事務年度「法人税等の調査事績の概要」より海外取引に係る税務調査の状況

国際税務会計事務所あすか税理士法人|世界(外国)の税金・海外取引(貿易)の節税ブログ|谷本公認会計士税理士大阪淀屋橋北浜
谷本治郎
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国税庁より11月4日に公表された調査事績の概要(平成20年事務年度)から海外取引に関する税務調査状況について以下コメントします。

企業の国境を越えた事業・投資活動の活発化に伴い、海外取引に係る調査の重要性が高まっています。  このため、海外取引に係る調査については、資金の海外への移動に着目した資料情報の収集活用や租税条約に基づく外国税務当局との情報交換の活用などにより、深度ある調査に取り組んでいます。  平成20事務年度においては、調査課所管法人について、調査を実施した3,952件のうち、海外取引に係る申告漏れのあった件数は893件(22.6%)、そのうち不正な経理を行っていたものは117件に上りました

この調査状況は、調査課所管法人(原則として資本金1億円以上)に係る海外取引に係る調査状況ですから、国税局所轄の法人が対象となり、税務署所轄の法人は含まれていません。つまり、大企業及び中堅企業が対象となっていると推測されます。

「平成20年事務年度の海外調査状況のまとめ」

・申告漏れ件数の総数:893件
・所得金額の総額:1860億円
・1件あたりの申告漏れ金額:2.08億円

・不正計算(経理)のあった件数:117件
・不正脱漏所得金額:113億円
・1件あたりの不正申告金額:9650万円

・タックスヘイブン税制に係る申告漏れ
・件数:81件/金額:107億円
・1件あたり申告漏れ金額:1.3億円

・移転価格税制に係る申告漏れ
・件数:111件/270億円
・1件あたり申告漏れ金額:2.4億円

全体でみると1件あたり約2億円の申告漏れ所得になりますのでかなりの金額です。小零細企業の売上に匹敵します。

不正計算、不正経理とはおそらく意図的に海外・オフショアに所得移転したり、日本で売上計上しなかったりなどをして脱税を図ったものと思われます。

タックスヘイブン対策税制に関しては、香港の来料加工貿易の問題や、中国やシンガポールなどの税率が25%以下であることによる適用除外要件充足の問題が税務調査上はトラブルになっていると推測されます。

また移転価格税制は1件あたりの金額が総数の平均よりも大きくなっていますが、これは対象となる企業が国際展開している大企業(外資系日本法人を含む)であることが原因かと思われます。

いずれにしても、国税局l所轄法人の国際税務・国際課税の調査に関してはタックスヘイブン対策税制、移転価格税制が大きなターゲットとなり、その金額は多額になる可能性が高いことを示唆していると思われます。また、安易な海外の子会社やオフショア法人を利用した取引は税務調査の網にかかることになり、結果として思いもよらない多額の税金が発生し、企業経営に影響を与えることになります。

なお、税務署所轄法人(国税局所轄以外の法人)の海外取引に関する税務調査は、タックスヘイブン対策税制や移転価格税制を適用するまでもなく、海外子会社への寄付金課税や接待交際費課税、あるいは同族会社行為計算否認、実質所得者課税の原則などを適用することにより、現場での処理が行われているのではないかと推測されます。国際課税に関する税務調査の事前準備は大企業でなくとも必要ではないかと考えます。

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